[コミック] ヨドバシカメラのコミック進出のねらい

 顧客のリピート間隔の短縮と、優良顧客の囲い込み。
 後は、安定的な収入源の確保。
 
 

ヨドバシカメラがコミック販売に進出したねらいは、何だろう。

もちろんこんな時代だから、少しでも利益が出そうな商材なら、どんどん扱って行こうという思いもあるかもしれない。
でも僕が今日、ふと思ったのは…

1.顧客のリピート間隔の短縮
2.優良顧客の囲い込み
3.安定した収入源の確保

ってところ。


1の“顧客のリピート間隔の短縮”だけど、お客さんは電化製品をしょっちゅう購入するわけではないので、一度何かを買って満足すると、次にまたヨドバシに足を運んでくれるまで、時間がかかる。

でも、一度お店に来てくれれば、「あぁ、これ欲しかったんだよなぁ」とか「こういうのあったらいいかも」、はたまた、「え、今こんなに値段安くなったんだ」ってな話で、商品を買ってくれることが期待できる。

すると、まずはいかにお店にまた来てもらうかが大事なわけで、ここでポイントになるのが、コミックの新刊販売。
漫画ファンなら好きな作品は様々あって、毎月毎月、何らかの新刊が発売されている。

狙った新刊を買いに来る人もいるだろうし、何か新刊あるかなーってんで、ふらっと来てくれるお客さんもいるだろう。
そうすると、定期的にお客さんを呼び込むことができるわけで、コミック販売を行っていないときと比べ、お客さんがリピートしてくれる間隔がだいぶ短くなるのではないだろうか。
(もちろん、コミックを買うようなセグメントのお客さんに限っての話だが)


そして2の“優良顧客の囲い込み”だが、ここで今の“コミックを買うようなセグメントのお客さん”という話が重要になる。
コミックを買うお客さんは、おおむね、若い方が多い。
主に、10代〜30代前半の独身者が多いのではないだろうか。

こういう層は、現時点でも比較的お金の自由がきいて、買い物を行ってくれそうな層だ。
そして、10代や20代のお客さんは、いずれ実家から出て大学や社会人で一人暮らしをする。
また結婚すれば、新居の家電を一式揃えたりするだろう。

30代は実際に働いている層だから、特にお金を持っている人達だ。
オタク趣味が高じて、映像や音楽、パソコンなど、高価な機材の購入をすることもあるだろうし、結婚して家の家電を買うときでも、たまったポイントが使えたり、奥さんが物色してる間に自分はコミックコーナーでのんびりするという使い方もできる。

さらには、コミック好きは、多少なりともみな、オタクだ。
自分がそうなので自分の例を話すと、オタクは自分の欲求にはとても素直なので、それがいいもので欲しいと思えば、たとえ高いお金を出しても購入する。
見る目は厳しいが、いったん決めると財布のひもは軽い。


そんなこんなで、たとえコミック自体の売り上げはそこそこであっても、それをきっかけに家電の売り上げにつなげることができる、というのがねらいなんじゃないかなぁ。

あとはもうしばらく先の話だと思うけど、額はそれほどではなくても、安定して入ってくる収入源の確保かなぁ。
一般に、本は利幅が少ないので、書店はあまり儲かる商売ではないと聞くんですよね。
ただ、それも規模と商品の回転率によると思うので、ヨドバシくらいのスペースでお客さんがそれなりに入ってくれば、そこそこ収益あがるでしょうし。

消費が冷え込んで、高額の家電がなかなか売れなくなってきても、コミック買う層は安定してコミック買いますからね。

あれだ、コナミがゲームの収益だけだと売れたときと売れなかったときの差が大きくてリスクが高いんで、安定した収入源としてフィットネスのコナミ・スポーツを運営してるのと似たようなものかと。


そんなこんなで、安定した収入源を確保しながら、コミックという商品の特性から、一部のお客さんのリピート間隔を短縮させて家電の売り上げにつなげること、あとは優良顧客の囲い込みという観点から、ヨドバシのコミック販売への進出は、一粒で二度も三度もおいしくなる可能性があってやったんじゃないかなーという感想でした。


それにしても、こういうのは答えがあっていようが、間違っていようが、考えることが頭の体操で楽しいですね。